この時期、知っておきたい!年末調整の基本
2025年11月12日
年末調整の季節がやってきました!
今年も年末調整の季節がやってきました。勤務先から書類提出の案内が届き、「そんな時期になったのか」と慌ただしさを感じる方も多いのではないでしょうか。令和7年分は、所得控除に大きな改正が入る年です。「毎年のことだから」と、さらりと流さず、今年は少しじっくりと年末調整に向き合ってみてはいかがでしょう。
「年末調整」とは、1年間の給与から天引き(源泉徴収)された税額の合計額と、実際の給与総額に対する年税額を一致させる精算手続です。勤務先から配布される書類(扶養控除等申告書など)に必要事項を記入し、勤務先へ提出すると、勤務先が正しい所得税額を算出し、過不足を調整する年末調整を行ってくれます。会社員やパートなど、多くの給与所得者は、この年末調整で課税関係が終了します。
年末調整に必要な書類
提出が必要な書類は、下表のとおりです。あわせて、保険会社等から届く控除証明書も必要です。保険会社等から控除証明書が届き始めたら、「年末調整用のファイル」をつくって、関係資料を一元管理しておくと安心です。
〇提出必要書類一覧
| 扶養控除等申告書 |
| 基礎控除申告書 |
| 配偶者控除等申告書 |
| 特定親族特別控除申告書 |
| 所得金額調整控除申告書 |
| 保険料控除申告書 |
| 住宅借入金等特別控除申告書(該当者のみ) |
基礎控除等の改正点は、令和7年分から適用
年末調整では、前項の各種申告書を勤務先に提出することで、様々な控除が受けられます。今年の年末調整では、扶養控除等の対象となる扶養親族等の所得要件の引上げや特定親族特別控除の創設などの改正が反映されます。改正点の主な項目は下表のとおりです。扶養控除の対象となる子の収入額の把握など、早めの準備が肝要です。また、年末調整手続の電子化も進んでおり、給与所得者は、手書きでの書類作成が不要になったり、ソフトが控除額を自動計算してくれたりする場合もあります。
【令和7年分から適用される改正点の主な項目】
| 基礎控除 | 一律48万円が、所得水準に応じて段階的に引き上げられ、最大95万円に |
| 給与所得控除 | 最低保障額が55万円から65万円へ引き上げ |
| 特定親族特別控除 | 19歳以上23歳未満の子どもを扶養している家庭を対象に、新たに創設 |
| 扶養・配偶者控除 | 配偶者や扶養親族の所得要件が、48万円以下から58万円以下へ緩和 勤労学生控除の要件も同様に緩和 |
年末調整に間に合わなかったら?
万が一「期限内の書類提出が間に合わないかも」という事態に陥ったら、まずは勤務先の担当者へ相談しましょう。間に合わなかった場合も、自分で「確定申告」を行えば、過払い分は還付され、不足分も支払えます。
年末調整は、税金の過払いや払い不足を防ぐ大事な機会です。11月中に準備を整え、12月の慌ただしい時期を乗り切りましょう。次回のコラムは、「年末調整の『住宅ローン控除』」のチェックポイント」をご紹介します。
※年末調整の各申告書の記載例など詳しくは、国税庁のホームページ「年末調整がよくわかるページ(令和7年分)」も参照ください。
https://www.nta.go.jp/users/gensen/nencho/index.htm
J-FLEC認定アドバイザー 大石 泉