入賞作品のうち一部をご紹介しています。本年は、全国の高等学校から2,739点の応募が寄せられ、審査の結果20点が入賞作品に選ばれました(特選5点、秀作5点、佳作10点)。
特選入賞者(敬称略)
金融担当大臣賞
税金という名の顕微鏡

橘 葵衣(石川県 金沢大学人間社会学域学校教育学類附属高等学校 2年)
秀作入賞者(敬称略)
幸せのバトン

吉田 千夏(神奈川県 横須賀学院高等学校 2年)
佳作入賞者(敬称略)
佳作入賞者一覧(10名)
審査員(敬称略)
| 松島 斉 | 東京大学大学院経済学研究科教授 |
| 山田 真哉 | 公認会計士・税理士 |
| 山本 勇 | 全国公民科・社会科教育研究会会長 |
| 阿部 睦子 | 全国家庭科教育協会理事長 |
| 岩澤 未奈 | 東京都立狛江高等学校主任教諭 |
| 塙 枝里子 | 東京都立農業高等学校主幹教諭 |
| 佐藤 栄利也 | 金融庁総合政策局総合政策課 金融経済教育推進室課長補佐 |
| 西澤 美彦 | 文部科学省初等中等教育局視学官 |
| 村國 聡 | 日本銀行情報サービス局長 |
| 大友 佳子 | 金融経済教育推進機構理事 |
講評
第23回「金融と経済を考える」高校生小論文コンクールには、2,739編の応募がありました。金融や経済に関することであればテーマは自由です。厳正な審査の結果、特選5編、秀作5編、佳作10編の入賞作品が決まりました。
自らの体験をもとに、教育や税、投資、持続可能性といった多様な切り口から日本社会の課題と解決策をつづった作品、家計管理の重要性について思考を深めた作品など、幅広いテーマの秀作が寄せられました。特選5編の概要を紹介します。
金融担当大臣賞「税金という名の顕微鏡」の筆者は、中学生の時に市が無料で行う科学教室に参加し、顕微鏡で見た珪藻に感動したことから、嫌いだった理科の面白さや学ぶ楽しさに目覚めます。教育が税金で支えられる仕組みであり、教育に投じられる税金は国民の可能性を拡大して見えるようにする顕微鏡のようなものであると気づいた筆者は、社会における税の役割に関心を抱くようになります。祖母が被災した能登半島地震では暮らしを守る税は社会のリスクに対する保険でもあると実感。自身が参加する地域の子ども食堂が、NPOによる運営と自治体の助成金で成り立っていることにも触れ、自治体と民間の協働により、ニーズに合った教育や福祉の支援が可能になると主張。実際に、地域の団体同士を結びつけるプラットフォームづくりに取り組んでいます。審査員からは「税金の大切さを自らの経験を通じてよく表現している。高校生らしい解決策が示されている点も良い」と評価されました。
文部科学大臣賞「高校生と貧富の連鎖」は、留学をきっかけに知った「格差」への問題意識をつづっています。貧富の差を実感することなく暮らしてきた筆者は、アメリカ・オレゴン州の高校へ留学した際、スポーツ用品を買えず部活動を諦める人や、進学のために放課後にアルバイトをする生徒が多くいるという事実に直面します。スポーツや課外活動の実績が大学進学に影響するアメリカでは、貧富の差が機会の差となり、その後の就職にも連鎖して格差を固定化させているという構造を知ります。この経験から筆者は、日本でも経済力による教育機会の格差が広がることを懸念し、すべての子どもが平等に経験を得られる社会が必要だと主張します。審査員からは「アメリカで起きている問題から日本社会を考え、深い部分まで論じられている。格差を教育で解決していくという視点が面白い」と評価されました。
日本銀行総裁賞「『三方よし』から『未来よし』へ」の筆者の故郷は、近江商人の歴史で知られる近江八幡市。彼らが掲げた「三方よし」の精神は、持続可能社会の実現に向けてESG投資が求められる現代にも通ずるものです。筆者は、英語ディベート大会で原子力発電所廃止の是非について議論した際、理念やスローガンだけでは社会課題を解決できず、客観的データを基に判断する重要性や、持続可能社会の実現には巨額の投資資金が必要で、金融が果たすべき役割が大きいことに気づきます。また、金融が未来を形づくる力を発揮するには、金融教育や制度設計が重要であるとし、高校生も、利用する金融機関の選択や、環境配慮型商品の購入、SNSなどを通じた発信を通じて、社会を変えていく担い手になり得ると結んでいます。審査員からは「高校生も社会を変えていく担い手となり得るとの自覚のもと、金融が未来を動かす投資の流れを生み出していくというスケールの大きな提言を行っている」と評価されました。
全国公民科・社会科教育研究会会長賞「日米の金融教育を経験して」は、筆者の体験を踏まえた提言です。2022年から金融教育が必修化され、日本でも資産形成や金融リテラシーを学ぶ機会が増えていますが、筆者は、アメリカ留学で体験した実践的な金融教育と比べ、日本の授業には「運用している実感」が乏しいと感じています。アメリカでは投資シミュレーションや株式取引の実践型学習が行われ、生徒同士の議論も活発だった一方、日本では、知識の暗記が中心で、筆記試験による評価が主流であり、教員も知識習得の時間不足に悩んでいると指摘。筆者は、実際の株価を使ったシミュレーション導入や、教員も共に学ぶ仕組みなど、より実践的な学習が必要だと述べています。審査員からは「自分なりの視点で日米の金融教育を分析して提言できている。教育現場に対してもメッセージのある作品」と評価されました。
J-FLEC理事長賞「通帳と母の背中から学んだ、私の経済感覚」の筆者は、幼い頃から使うよりも貯めるタイプで、お金の使い道を選ぶ力こそ大切だと考えていました。父が病気で働けなくなり、一手に家計を支える母の姿を見て、改めて「お金の重み」に気づき、その考えはより強まります。その頃、母から「自分で管理してみて」と通帳を渡された筆者は、家計簿アプリで日々の支出を記録、本当に必要だったかを振り返ることで、無駄なく使えているかを“見える化”し、お金に対する知識や判断力を磨いていきます。18歳を迎えた筆者は、これからはアルバイトをして自分でお金を稼いだり、税や社会保険料を払ったりすることで、社会を支える一員になっていくという未来への覚悟をつづっています。審査員は「家計管理・生活設計に関して自らの経験を通じてしっかり考えを深めている。自立した生活への意志や筆者の成長を感じられる作品」と評価しました。
第23回「金融と経済を考える」高校生小論文コンクールには、2,739編の応募がありました。金融や経済に関することであればテーマは自由です。厳正な審査の結果、特選5編、秀作5編、佳作10編の入賞作品が決まりました。
自らの体験をもとに、教育や税、投資、持続可能性といった多様な切り口から日本社会の課題と解決策をつづった作品、家計管理の重要性について思考を深めた作品など、幅広いテーマの秀作が寄せられました。特選5編の概要を紹介します。
金融担当大臣賞「税金という名の顕微鏡」の筆者は、中学生の時に市が無料で行う科学教室に参加し、顕微鏡で見た珪藻に感動したことから、嫌いだった理科の面白さや学ぶ楽しさに目覚めます。教育が税金で支えられる仕組みであり、教育に投じられる税金は国民の可能性を拡大して見えるようにする顕微鏡のようなものであると気づいた筆者は、社会における税の役割に関心を抱くようになります。祖母が被災した能登半島地震では暮らしを守る税は社会のリスクに対する保険でもあると実感。自身が参加する地域の子ども食堂が、NPOによる運営と自治体の助成金で成り立っていることにも触れ、自治体と民間の協働により、ニーズに合った教育や福祉の支援が可能になると主張。実際に、地域の団体同士を結びつけるプラットフォームづくりに取り組んでいます。審査員からは「税金の大切さを自らの経験を通じてよく表現している。高校生らしい解決策が示されている点も良い」と評価されました。
文部科学大臣賞「高校生と貧富の連鎖」は、留学をきっかけに知った「格差」への問題意識をつづっています。貧富の差を実感することなく暮らしてきた筆者は、アメリカ・オレゴン州の高校へ留学した際、スポーツ用品を買えず部活動を諦める人や、進学のために放課後にアルバイトをする生徒が多くいるという事実に直面します。スポーツや課外活動の実績が大学進学に影響するアメリカでは、貧富の差が機会の差となり、その後の就職にも連鎖して格差を固定化させているという構造を知ります。この経験から筆者は、日本でも経済力による教育機会の格差が広がることを懸念し、すべての子どもが平等に経験を得られる社会が必要だと主張します。審査員からは「アメリカで起きている問題から日本社会を考え、深い部分まで論じられている。格差を教育で解決していくという視点が面白い」と評価されました。
日本銀行総裁賞「『三方よし』から『未来よし』へ」の筆者の故郷は、近江商人の歴史で知られる近江八幡市。彼らが掲げた「三方よし」の精神は、持続可能社会の実現に向けてESG投資が求められる現代にも通ずるものです。筆者は、英語ディベート大会で原子力発電所廃止の是非について議論した際、理念やスローガンだけでは社会課題を解決できず、客観的データを基に判断する重要性や、持続可能社会の実現には巨額の投資資金が必要で、金融が果たすべき役割が大きいことに気づきます。また、金融が未来を形づくる力を発揮するには、金融教育や制度設計が重要であるとし、高校生も、利用する金融機関の選択や、環境配慮型商品の購入、SNSなどを通じた発信を通じて、社会を変えていく担い手になり得ると結んでいます。審査員からは「高校生も社会を変えていく担い手となり得るとの自覚のもと、金融が未来を動かす投資の流れを生み出していくというスケールの大きな提言を行っている」と評価されました。
全国公民科・社会科教育研究会会長賞「日米の金融教育を経験して」は、筆者の体験を踏まえた提言です。2022年から金融教育が必修化され、日本でも資産形成や金融リテラシーを学ぶ機会が増えていますが、筆者は、アメリカ留学で体験した実践的な金融教育と比べ、日本の授業には「運用している実感」が乏しいと感じています。アメリカでは投資シミュレーションや株式取引の実践型学習が行われ、生徒同士の議論も活発だった一方、日本では、知識の暗記が中心で、筆記試験による評価が主流であり、教員も知識習得の時間不足に悩んでいると指摘。筆者は、実際の株価を使ったシミュレーション導入や、教員も共に学ぶ仕組みなど、より実践的な学習が必要だと述べています。審査員からは「自分なりの視点で日米の金融教育を分析して提言できている。教育現場に対してもメッセージのある作品」と評価されました。
J-FLEC理事長賞「通帳と母の背中から学んだ、私の経済感覚」の筆者は、幼い頃から使うよりも貯めるタイプで、お金の使い道を選ぶ力こそ大切だと考えていました。父が病気で働けなくなり、一手に家計を支える母の姿を見て、改めて「お金の重み」に気づき、その考えはより強まります。その頃、母から「自分で管理してみて」と通帳を渡された筆者は、家計簿アプリで日々の支出を記録、本当に必要だったかを振り返ることで、無駄なく使えているかを“見える化”し、お金に対する知識や判断力を磨いていきます。18歳を迎えた筆者は、これからはアルバイトをして自分でお金を稼いだり、税や社会保険料を払ったりすることで、社会を支える一員になっていくという未来への覚悟をつづっています。審査員は「家計管理・生活設計に関して自らの経験を通じてしっかり考えを深めている。自立した生活への意志や筆者の成長を感じられる作品」と評価しました。
募集要項
第23回「金融と経済を考える」高校生小論文コンクール募集要項