
高校卒業後の進路を考える際に必要となる「お金との関わり方」を、自分ごととして理解を深めていくために「社会に出て気をつけたいお金のこと」をテーマに全銀協職員による講師派遣授業が実施されました。
この授業では、自立のために、お金を賢く管理できるようになるためのポイントを学んでいきました。
はじめに、お金のことについてどのくらい知識を持っているのか三択クイズを通して確認していきました。
Q1.今、日本で発行されているお金の種類はいくつか
→A1.10種類
Q2.破けて3分の2になってしまった1,000円札を銀行に持っていくと、いくらで交換してくれるか
→A2.1,000円(3分の2以上であれば、1,000円札と交換してくれる
Q3.姫路駅周辺の一人暮らし向けアパート・マンションの家賃相場は
→A3.57,000円
Q4.3大キャリアのスマートフォンの費用の平均はいくらか
→A4.月7,800円
社会に出るということは、お金を自分で稼ぎ、稼いだお金の使い方(支出)を自分で管理するということであり、本時は、自立のために、お金を賢く管理できるようになるための4つのポイントを学んでいくことが伝えられました。
1.人生に必要なお金を知ろう!
はじめに、3年後、10年後にどのような生活をしていると思うか隣同士で話し合ってみました。生徒からは、「大学に行っている」、「結婚をしている」といった意見がありました。
人生にはさまざまなライフイベントがあり、ライフイベントごとにお金が必要になります。そこで、大学進学、就職活動、結婚、出産、自動車の購入に必要となる金額の目安や、人生の三大資金(子どもの教育費、住宅の購入費、老後の生活費)について確認していきました。
特に住宅購入費については、東京など首都圏ではマンションの値段が高騰していることや、住宅購入費の平均は3,500万円から4,500万円程度ということ、老後の生活費については、年金だけでは収入が足りなくなるので、働いている現役時代から貯めておく必要があることが説明されました。
また、教育費に関係する奨学金について、大学や専門学校に進学している約半数の学生が利用しているとされる日本学生支援機構の制度、奨学金の種類などを確認しました。特に、一定期間返済が滞ってしまった場合には個人信用情報機関に延滞情報が登録され、新たにローンやクレジットの契約ができなくなる可能性があることが説明されました。
理想の人生にしていくためには、ライフプランに必要な資金計画(マネープラン)を立てて、お金を準備していくことが重要であることが伝えられました。
2.働いてお金を稼ぐとは?
日本の労働人口のうち約8割がサラリーマンという現状から、サラリーマンの初任給、正規雇用と非正規雇用それぞれの特徴、年収の違いを確認しました。
働き方に優劣があるということではなく、収入、時間の使い方、ライフスタイルなどそれぞれの価値観によって選択していく必要がありますが、働くことでどのくらいの収入を得られるかは、基本的にはどのくらいの価値を提供できるかによりますので、社会に出るまでに「将来どのような仕事をするのか」、「どのように働いていくのか」を考え、自分が提供できる価値を高めていくことが重要であると、講師から伝えられました。
3.家計管理をしよう!
家計は収入と支出のバランスで成り立っていること、給与明細の見方を理解し、収入から非消費支出(税金・社会保険料)を引いた残りである手取り収入(可処分所得)の範囲で家計をやりくりする必要があることが伝えられました。
賢いお金の使い方・貯め方のポイントとして「必要なものか欲しいものか考える習慣をつける」、「価格と条件を比べる」、「貯蓄をする際は給与から先取りで貯蓄をし、その残りを使えるお金として考えていく」とよいことが伝えられました。
4.いろいろな決済方法を知ろう!
最後に、現金以外の決済方法を確認していきました。
- プリペイドカード:プリペイドとは「前払い」という意味。コンビニなどで手に入ります。
- デビットカード:買い物と同時に銀行口座から代金が引き落とされる仕組みで、口座に入っている金額まで支払いができます。
- クレジットカード:買い物をした代金を後払いで支払う方法。手元や銀行口座にお金がなくても買い物ができるメリットがありますが、支払能力がないと持つことができません。
そのほか、銀行振込みやコンビニでの支払い、代引きなどの決済方法も紹介がありました。
さまざまな決済方法を支払いのタイミングで分類すると、以下のようになります。
- 前払い:プリペイドカード、コンビニで支払う、銀行振込み
- 同時払い:デビットカード、代引き
- 後払い:クレジットカード
ここで、「あなたにとって安心な決済方法はどれですか。理由とあわせて考えてみましょう」という質問があり、隣同士で話し合ってみました。生徒からは「お金を使ってしまって後から払えないと困るから前払い」、「後から必ずお金を払えるとは限らないから同時払い」などの意見が出ました。
講師から、「前払い」は商品の未着やサービスの未提供といったリスクがあること、「後払い」は手元に現金がない状態でも商品・サービスを購入できるため使い過ぎてしまう危険性があることを踏まえて、自分に合った決済方法を賢く選択する必要があることが伝えられました。
最後に学年担当の先生から、2022年度から成年年齢が18歳となり、お金に対する責任を持つ年齢が早まって来ていることを踏まえ、将来のことを念頭にお金との関わり方について日々考えていってほしい旨が伝えられ、授業は終了となりました。
1年生にとって、高校卒業後の生活をイメージしながら、お金との関わり方を現実的・具体的に考える機会となったようでした。