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けんた
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熱血先生
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しょうこ

けんた
「2023年の名目GDPが32年ぶりに伸びている」とのニュースを見ました。これはどういうことですか。
熱血先生
僕も同じ趣旨の記事を見たよ。2023年の名目GDPは前年に比べて5.7%増となったとされている。授業でも習ったと思うけど、GDPとは「国内総生産」のことだね。おさらいすると、これは「一定期間に一国内の生産活動によって新たに生み出された物やサービスの付加価値の合計」を意味するね。
けんた
なんとなくはわかるのですが……。
熱血先生
例えば、あるお店でおいしいパンを売っていて、このパンの「販売価格が200円、原材料費が150円」だとすれば、この場合のお店が生み出した付加価値は50円になるよ。GDPは日本国内で生産されたすべての物やサービスを対象に、この付加価値を合計して算出される。
けんた
つまり、GDPが伸びているということは、どういうことですか?
熱血先生
簡単にいうと、経済が活発な状態だということだね。GDPは内閣府により公表されていて、GDPが前年や前期に比べて増加すればより経済が活発になっている状態、反対に減少すれば低調と判断できる。
しょうこ
それにしても「32年ぶり」とは、そんなにすごいのですか?
熱血先生
けんたくんの見た記事でポイントになっているのは「名目GDP」という部分だね。GDPは「名目GDP」と「実質GDP」があって、今回32年ぶりといって注目されているのは、「名目GDP」のことなんだ。
けんた
その2つは、何が違うのですか。
熱血先生
「名目」は物価の変動を反映した値、「実質」は物価の変動を取り除いた値だよ。さっきのパンの例でみると、世の中の物価が10%値上がりすると、お店のパンの原材料費は150円から165円になってしまう。そこでパンの値段も10%上げて220円で売った場合、「名目」は物価上昇分を含めて計算するため、付加価値は55円に増える。一方の「実質」は10%の物価上昇分を取り除くため、実質の場合の付加価値は50円のままになるんだ。つまり、実質GDPよりも名目GDPが伸びているというのは、販売価格が上がっている、つまりインフレになっていることを意味しているんだよ。
けんた
なるほど。よく分かりました。
熱血先生
最新の内閣府の公表では、2023年の名目GDPは1次速報値(24年2月発表)、2次速報値(同3月発表)ともに、前年比5.7%増とされている。一方、実質GDPは1.9%増にとどまっているよ。
しょうこ
名目GDPと実質GDPとの値も大きく開いていて、その分、物価上昇が進んでいることになりますね。
熱血先生
そういうことになる。この「名目GDPが前年比5.7%増」という伸びは、過去の平均に比べてかなり大きな水準のようだ。これまで日本は長くデフレ経済に悩まされてきたけど、ついにデフレを脱却してインフレに向かっていると考えることもできるね。
けんた
デフレ脱却は、いいことなのですか?
熱血先生
経済活性化に向けて、明るいニュースだと思うよ。でも、国民の所得が上がらないまま物価だけ上がってしまうと、消費の低迷を招いて経済には悪影響になる。物価の上昇に伴って、僕らの賃金も上がって経済が活発になるか、これから注目したい部分だね。
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